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vol.8【ここが変だよ不動産業界】お客様困惑の商習慣もwithコロナで変革⁉

お客様目線で「不動産業界の変な商習慣」をチェック!

井口克美の”住まいるup”、vol.7で【ここが変だよ不動産業界】㎡・坪・帖・畳⁉ 間取り表記編をお届けしました。「変だよ」と思い始めるとアレもコレもと浮かんできます。

vol.8も「ここが変だよシリーズ」になります。なんだか「言いたい放題やな…」と捉えかねられそうですが、「ここが変だよシリーズ」はお客様目線で不動産業界全体の活性化を願う、不動産業界に携わり30年超の「心の声」だと思っていただけると幸いです。

今回のテーマは「お客様困惑の商慣習」です。業界ごとの商習慣というものがあり、その業界では当たり前のことが、他の業界からはちょっと理解に苦しむ「?」に映ることも多いでしょう。

もちろん、その商習慣で業務上問題がなければ改善する必要もありません。ただ、どの業界もそうでしょうが、2020年1月以降の深刻なコロナ禍において、従来の販売手法や考え方が通用しない状況を余儀なくされていることでしょう。不動産業界も「商習慣」の変化、あるいは変革、進化を迫られています。

beforeコロナでは通例も、コロナ禍を機に業界の習慣も変化が

beforeコロナでは、事業主、販売代理、広告代理店、Web制作会社はじめ、時には建築事務所や内装デザイン会社などが一堂に会し、多い時には10人以上での定例会議が開催されていました。

当時はリアルで会わないと出来ないと思われていたことが、withコロナの今、Zoomに代表されるオンライン会議でもそん色ないレベルで会議が成立することが浸透してきました。3密を避けるためでもありますが、会議の場に集合する時間も節約できるなど、それぞれがそれぞれの立場でのメリットを実感するようにもなってきています。

このようにコロナ禍を機に、非効率な業務を見直す流れが社会全体に定着しつつあります。不動産業界では、新築分譲マンションの販売においても、Webセミナーやオンライン接客など、beforeコロナ時代にはなかった新たな試みが始まっているように、従来の価値観が大きく変わりつつあります。

一度フラットな観点から「商習慣」を見直すことで、新たな気づきや今後の方向性が見つかるかも知れないでしょう。「ここが変だよ」と思う不動産業界の慣習を、つれづれなるがままに列挙してみます。

高額商品なのに実物が確認できない…販売方法も変だよ

新築分譲マンションの販売において一番不思議なことは、非常に高額で、購入後に何十年も暮らすことになるであろう人生でも最重要な商品を、実物を見ることも触れることもなく購入しなければならないということです。

もちろん、新築分譲マンションのビジネスモデルとして、竣工時には完売(資金回収)のめどを立てないといけないということは百も承知の上ですが、100円の野菜や果物でも手に取って確かめてから買う一般的なユーザーの感覚からすると、なんだか乱暴な売り方にも感じてしまいます。

しかも、住宅ローンという借金をして、最終的には実際のマンション販売価格よりも高い金額を払う方が多いにも関わらず…。この販売の仕方は一般的なお客様にとって、非常にストレスを感じる購入フローだということを不動産業界も再認識することが必要でしょう。

VRや最新テクノロジーの進化により、モデルルームの擬似体感もできる時代になりましたが、実物をよりわかりやすく丁寧に伝える手法を模索し確立しなければならないでしょう。

お客様に何度も足を運ばせる手法も、やはりオカシイ

自動車や貴金属などの高額商品を購入する際には、お客様は非常に丁寧な接客を受けていることでしょう。そして、同じ店舗においてもより高額な商品を購入するお客様は、まさにVIP待遇となっていることでしょう。世間のイメージは「一般的には商品価格に比例して接客レベルも上がる」です。

もちろん、安価な商品を扱うお店も丁寧な対応をされますが、それでも「おもてなし」レベルのVIP待遇とはニュアンスが少し違うでしょう。そのイメージが世間に浸透している中、一般的には自動車や貴金属をはるかに上回る価格のマンションを購入する場合、購入希望者であるお客様に、何度も販売センターに足を運んでもらう手法が続いています。

しかも、物件の資料や価格等の情報は小刻みにしか提供しないため、お客様が比較検討する時間が十分にあるにも関わらず、最終的に価格が決まるまでは決断できない、歯がゆい状況が続くことになります。特に大規模マンションは戸数が多いため、資料請求等の最初のアプローチから価格やスケジュール等、購入決断に必要な全情報をお客様が手にするまでには何か月もかかる状況です。

大規模マンションということもあり、大人数相手の接客に時間が必要であり、情報を小出しにしながらお客様の反応を見て価格を決めるという、まさに売り手側のみの都合と言えます。販売センターに行かないとお客様の判断材料となる情報が入らない、まさに情報格差による集客スタイルがまだ続いています。

この問題は単純に「お客様に足を運んでいただく回数を減らす」ことが解決策ではなく、「せっかく貴重な土日を費やしたのに、なんだかあまり収穫はなかったな」とならないようにすることが重要です。「お客様が足を運んで良かった」と思っていただけるような、例えば物件のリアル感をはじめ、営業担当の知見や熱意も含めて、現場ならではの価値ある生情報をご提供することが売り手側に求められます。

本記事のまとめ

「ここが変だよ」は気になると止まらないものですね。vol.7、vol.8と2話連続で「ここが変だよ不動産業界」をお届けしました。

本文で紹介した「商習慣」も時代に適したバージョンにアップしないと厳しいでしょう。誰もがインターネットやSNS等で情報を発信し、また情報を入手できる時代です。インターネットを介し、データ情報のやり取りが世間一般に浸透している今、お客様にとっては何度も現場に行く必要性が感じられなくなっているでしょう。

売り手側都合の商習慣も、コロナ禍を機に「お客様目線の商習慣」スタイルが求められています。また、販売センターにしても、売り手側に有利な場所(領域)だけではなく、快適かつスムーズなオンライン接客等、「現場に呼び込まない営業スタイル」も磨く時代になってきました。

withコロナ、そしてafterコロナにおいて、不動産業界は本当に必要なところに集中した、メリハリある営業戦略が求められています。まさに今が、売り手側にも買い手側にも「双方にメリットとなる商習慣」への移行期かもしれません。

井口克美の”住まいるup”

オウンドメディア「crel@b(クリラボ)」の住宅評論家コラム。「関西の不動産業界のことならお任せ」の住宅評論家・井口克美氏が、「新築マンション事情」「戸建て事情」「首都圏と近畿圏の違い」「業界あるある」など、様々な角度から真面目に、時には面白おかしく皆様の「住まい」と「スマイル」のアップをお届けします。一般社団法人住まいる総合研究所代表理事。 

住まいる総合研究所 井口様

この記事を書いたのは

井口克美

一般社団法人住まいる総合研究所代表理事。住宅評論家、住宅コンサルタント。1987年、神戸大学卒業後、株式会社リクルート入社。住宅情報(現SUUMO)の広告営業として新築分譲マンション・新築分譲戸建て・仲介・賃貸・等の領域を経験し、SUUMOカウンターでは参画営業を担当。見学したモデルルームや現地は2,000物件以上、担当してきたクライアントは100社を超える。現在は、不動産関連の執筆や住宅購入セミナーなどを中心に全国で活動中。(資格)宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナー、住宅建築コーディネーター、風水鑑定士